真島あみオフィシャルブログ
21世紀的魔女論

《第3話》ブブとレディ


 

 

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ブブはいつものように門の前に立っている。

 

雲ひとつない晴天だった。

太陽が一番上に登ってからしばらく過ぎた頃、街は遅い昼食の匂いとおやつの匂いが混じった香りがしていた。

 

ブブはこの時間の甘くゆったりとした街が好きだった。

 

「ブブ〜!」

 

空からブブの名前を呼ぶ声がした。

 

見上げると小さな鳥がブブに向かって来ていた。

 

「やぁ、久しぶり、ブブ!」

 

「久しぶりだね、コットン。
なんでそんなに急いで飛んでいるんだい!?」

 

小さな鳥の名前はコットン。
子供特有の肉付きで頬や翼の下はふっくらとしていた。

 

「早くパパいみたいに飛べるようになりたいんだ!」

 

コットンは門の柱に上に止まった。

 

「急がなくてもいつかパパみたいに飛べるようになるさ」

 

「ありがとう、ブブ。でも、僕はもう決めたんだ!すぐにでも飛ぶのがうんと上手になりたいんだ!」

 

「可愛い坊やね」

 

ブブとコットンの話を聞いていたレディが口を挟んだ。

 

レディは気分が向いた日に散歩の途中でブブを揶揄いに来ていた。
今日もたまたま来ていた。

 

コットンはブブの影に隠れてレディのことが見えていなかったのでびっくりした。
それ以上にコットンは初めて見た美しい猫にどう挨拶をしていいか分からなかった。

 

「初めてましてね、コットンと言うのね。私はレディ、よろしくね。」

 

「初めましてレディ、君みたいな美しい猫は見たことがないよ。」

 

「私もあなたみたいに可愛い小鳥さんを見たのは初めてよ」

 

コットンは優しく話しかけてくれたレディに警戒心が解けていた。

子供は自分をまっすぐに迎え入れてくれる相手にはその心も素直になる。

 

「可愛い小鳥さん、お母さんはどこかしら?」

 

「ママは森のお家の中だよ。1人でも平気さ」

 

コットンは誇らしげに力を込めて言った。
レディにはそれが余計に可愛らしかった。

 

「あなたはなんでそんなにパパみたいに飛べるようになりたいの?

 

「もう大切なものを無くさないようにさ」

 

「何かあったのかい?」

 

ブブは見上げていた顔を街の方に戻しながら聞いた。

 

「ブブ、聞いてくれる?」

 

コットンは柱から小さな翼を優しく羽ばたかせてブブの横まで降りた。

 

「私も聞いてていいのかしら?」

 

「もちろんだよ、レディ」

 

「今より涼しくて、少しぽかぽかして来た頃、
僕はいつものようにたんぽぽの綿毛を追いかけてたんだ。

 

風の強い日はうんと遠くまでたんぽぽは飛んでいくんだよ。たんぽぽを追いかけていると僕がまったく知らない場所に連れて行ってくれることもあるんだ。

 

その日もたんぽぽを追いかけていたんだ。
そしたら青い家根と青い家根の間にあるお家の黄色い扉の前でキラキラしたものを見つけたんだ。

 

後からママに聞いたら、人間の指輪って言うらしんだ。

 

森の中にはそんなにキラキラしたものはないからね。すぐに僕はその指輪が大好きになったんだよ。

 

そのまま口に咥えてお家に持って帰ってたんだ。
だって飛びきり素敵なものだったからね。

 

たんぽぽはいつでも追いかけっこ出来るけど、こんなにキラキラしたものはいつでも見つけることは出来ないからね。

 

家に持って帰ったら、ママがね。

 

『コットン、それは人間の大切な落とし物かもしれないよ。あった場所に戻しておいで』

って。

 

だから僕は元の場所に戻しに行くことにしたんだ。
でも飛びきり素敵なモノだから、諦めることが出来なかったんだよ。

 

毎日、毎日、その指輪を見に行ったよ。
道の上に置いていたら誰かに踏まれるかもしれないからね。

 

道の端っこのブロックに上に置いたんだ。

 

お月様が欠けてまん丸になって、それを3回も4回も繰り返しても人間の持ち主は現れなかった。

 

『きっとその持ち主は諦めてしまった。』そう思って

 

ママに内緒で森の中の僕の秘密基地に持っていくことにしたんだ。

 

秘密基地でその指輪を眺めるだけでも素敵なんだけど、僕が一番好きだったのはお日様の光に当たってキラキラする姿。

 

小さな緑色の石が付いていて、そこにお日様の光が当たると眩しいくらいに光るんだよ。

 

ブブはそんな綺麗な石を見たことがある?」

 

「ないかもしれないな」

「そうだよね。だってすごく素敵だったよ。」
空高くまで飛んでお日様の近くに行けば行くほどその石はキレイにキラキラに光るんだ。だから、僕はそれを咥えて高く高く飛んだ。
何度もね。

でも、ある時、急にびゅーっと風が強く吹いてね。
『ママは高く飛びすぎると風が強くて危ないからね』っていつも言ってたけど。

 

その石をキラキラさせることに夢中だったから、忘れてしまってたんだ。

 

そして風に身体ごと飛ばされそうになって、思わず咥えていた指輪を離してしまったんだ。

 

僕もそれに気付いて指輪を追いかけたけど、風が強くて思うように飛べなかった。パパなら上手に飛べたかもしれないけど。

 

指輪はどんどん下に落ちてすぐに見えなくなった。

 

風に負けないようになんとか地上に降りたけど、指輪がどこに落ちたか分からないままなんだよ。だって高く高く飛んでたし、僕も風に飛ばされてどこで落としたのかえさえ分からなかったからね。

 

そのまま見つからないままなのさ。

 

話を聞いてくれてありがとう、ブブ、レディ。

 

なんかちょっとスッキリした。

ママにも言えない話だったからね。」

 

何か失敗してしまうことよりも、その失敗を誰にも言えないまま隠しておくことの方がしんどいのかもしれない。

 

「今度は無くさないように大切にしないとな。」

 

ブブは優しく言った。

 

「うん!だから、僕はパパのようにどんな強い風が吹いても平気で飛んでいられるように練習するんだ!」

 

「可愛い小鳥さんにはお勉強になったわね。」

 

「無くした指輪のことを考えるとちょっと気分が落ち込むけどね。

 

「でも、それでいいのよ。

 

大切なものを無くしたら、次に大切なものを見つけたときにより大切に出来るでしょ。

 

そう考えれば失うことは何も悪いことではないのよ。

 

それが見つからないということはあなたにはもう必要がないのか、もっと素敵なものが見つかるってことよ。」

 

「う〜ん、大切なものを無くしても平気になるってこと?」

 

「失うことを慣れることはないわ、だからって悲しいことばかりではないのよ。」

 

「僕、悲しいことは嫌いだよ。」

 

「私もよ。」

 

「レディも何か無くしたことがあるの?」

 

「たくさんね。」
「悲しくなかったの?」
「悲しかったわ。」
「もう平気なの?」
「ええ。そうね。

無くさないようにすることも大切だけど、どうしても失ってしまうものもあるの。

 

地上では、たまにお空よりも強い風がビューっと吹くことがあるからね。
でも何をなくしても私は私よ。

あなたもそうでしょ。コットン」

 

コットンにはまだ意味がよく分からなかった。
ただ、レディが自分の為に話してくれていることが嬉しかった。

 

この時間は失くした指輪よりも長くずっと大切なものかもしれない

 

「コットン、もうそろそろ帰る時間じゃないか?」

 

コットンが興奮して話しているうちに太陽は夕陽へと姿を変えていた。

 

「ママが可愛い坊やのことを心配してるわよ。」

 

ブブの言葉にレディが付け足した。

 

「そうだね!ママにもレディのことを教えてあげなくちゃね!」

 

コットンはさよならと大きな声で言いながら振り返らずに飛んでいった。

 

コットンを小さくなるまで見送った後にレディが呟いた。

 

「どうしても何かを失ってしまうことはあるものね。」

 

そしてレディはさよならも言わずに歩き出した。

街は夕飯の準備の匂いがしていた。

 

 

 

 

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