ご質問をいただきました。
自分を愛することと、ナルシストの違いが分かりません。
ボイオティアの河神とニンフ(妖精)の子のナルキッソスは、生まれた時に「自分自身を知らなければ、長生きするだろう」という予言を受けた。
彼は美しい少年となり多くの男女に言い寄られたが、見向きもせず冷たくあしらっていた。
ある日森で友人とはぐれてしまった彼はエコーというニンフに出会う。
エコーはナルキッソスに惚れて追いかけるが、彼女はゼウスの妻ヘラの呪いによって人の言葉を繰り返すことしかできなかった。
「お前は誰だ」
「お前は誰だ」
「なぜ真似をする」
「なぜ真似をする」
ナルキッソスは、自分の言葉を真似するエコーを嫌って突き放す。
彼女は悲しみのあまりやせ細り、ついには身体がなくなり声だけになってしまった。
これをみた森の妖精たちは復讐の神ネメシスに頼み、ナルキッソスに自分しか愛せなくなる呪いをかける。
・・・・・・
ある日ナルキッソスは、きれいな泉を見つけのぞいてみた。
するとそこには美しい若者が映ってた。
彼はたちまち恋をしてしまったが、それは水面に映った自分の姿でしかなかった。
自分の姿に惚れてしまったナルキッソスはそこから離れることができず、痩せ衰えた。
そして水面に映った自分に手を伸ばし口づけをしようと顔を近付けた瞬間、バランスを崩して泉に落ち、死んでしまう。
ナルキッソスの死後、泉のほとりには水仙が咲いた。
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ギリシャ神話の中でも有名な、ナルキッソスとエコーの話です。
ナルシストの語源、ナルシシズムという概念もこのナルキッソスの話しが由来とされています。
よく、自分を愛している人や自分のことを美しいと思っている人のことをナルシストと言われたりしますが、そうではありません。