わたしの世界へようこそ。
いつもありがとうございます。
今日も一日、毎瞬毎秒、美を選択しましょう。
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4.常に美を選択する
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タイトスカートに慣れるのはもうしばらく先になりそう。
今まで感じたことのない緊張感。
こそばゆいけど気分はいい。
いまわたしは、女という気持ち良さを生まれて初めて味わっている。
似合わないと思って避けていた赤い口紅も、指にとって軽くぽんぽんと塗れば顔色が良く見えることに気付いた。
ランジェリーを上下セットにするだけで笑顔になれることも知った。
バラのおかげで、美しいものに囲まれることを自分に許せるようになった。それと同時にわたしの世界から少しずつ色が戻ってきている。
美しいものを選ぶことが、わたしを自由にしてくれるなんて。
まだ自分のことは美しいと思えないけど、この調子で美を選択していけば確実にわたしの世界は変わっていくはずだと思える。
「今日は帰りにハーブティを買って帰ろう。」
小さく伸びをしたとき、現実に引き戻す声が聞こえた。
「なんだか暇そうね。」
大量の資料がデスクに落ちてきた。
見上げるといつもの冷たい目がわたしを捉えている。
「これ今日中に。」
ぴしっとそろった黒髪ショートボブは、規則正しく揺れながら席を離れていった。
わたしの上司はすごく怖い。
怖いと言っても怒鳴ったりはしない。
静かに、ちくりと嫌味を放つ。
どうやって育てられたらあんな性格になるのか。
わたしも捻くれている方だけど、あの人ほどではない。
だいたい何?今の。
もっとやさしい言い方できないわけ。
もう本当に嫌、大嫌い、消えてくれればいいのに。
「あ、だめ。こんなこと考えちゃ。」
力の入った手を緩める。
手のひらに残った爪の跡を眺めていると、自己嫌悪に陥った。
心から美しくなりたいのに、だめだよそんな酷いこと考えちゃ。
憧れだったベロア素材のタイトスカートも、シャネルの口紅も、すべてが無駄になる。
美しい人は常に美しいことを考えてる。
こんな酷い思考は排除しないと。
そんなことを考えていると、わたしの世界はまた白と黒になってしまった。
あぁだめ。
わたしって本当にだめな女だ。
さっきまでいい気分だったのに、すぐに落ち込む。
もっと強くなれよ。
上司の咳払いで我にかえる。
とにかく今は仕事しなきゃ。
酷い気分のまま資料を手に取った。
今日はまっすぐ家に帰ろう。
バラに会いたい。
話をしたい。
『常に美を選ぶのです。探してください、あなたの美しさを。必ず見つけることができます。』
くてんと下を向いたバラの花びらは濃く色付いていて、不思議な力強さと色気を放っていた。
「たとえ心の中でも、上司に死ねって呪いをかける女に美しさなんてないよ。腹黒いじゃん。バラも言ってたでしょう?「常に美しいものを選べ」って。悪口に美しさなんてないよ。」
『どんな時でも、どんなことを考えていても、美を選択することはできます。本質を見つめるのです。あなたはなぜ、上司に対して腹を立てているのですか?』
「それは、、あの人がわたしのことを嫌っていると思うから。態度も冷たいし一言一言が嫌味っぽい。上司ならもう少し部下に優しくするべきだと思う。とにかくすごく怖いしイライラするの。」
『あなたは自分の存在を否定されたと感じ、傷付き、恐れ、怒っているのですね。つまりあなたは、あなたのことをとても大切に思っている、愛しているのです。「わたしは素晴らしい存在なのです。だから愛してください。」と、怒りという感情を使って訴えているのです。その心はとても純粋で美しいのではないですか?』
バラが何を言っているのかよく分からなかった。
『あなたは、あなたのことを愛しているのです。大切にしたいのです。その心の美しさを、味わってください。』
「わたしがわたしを、愛しているの…?」
『心の奥深くで、あなたはあなたを愛しています。常に抱きしめています。だからこそ、他人の言動や自分で自分を攻める言葉で傷付くのです。』
気付くと涙が溢れていた。
『他人に対して怒りが出てきたり責めしまったとき、自己嫌悪に陥る必要はありません。ただ「わたしはわたしを愛している。」という本当の気持ちにフォーカスしてください。それが美の選択です。あなたはどんな時も美しい。ただ、本質を見つめるだけです。』
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〜人生のどの瞬間も美しい小説の一部〜
辛いときや悲しいときは、自分の人生を小説だと思ってみましょう。
あなたが悩むことも、悲しむことも、人生という小説の一部。
だとしたら、この一瞬一瞬が、とても美しいものになりませんか?